未来を見据えた人材活用、日本郵政グループ横断での退職者協働プラットフォーム構築

取材に協力してくださった皆様

(日本郵政グループ:左から政賀さん、當麻さん、佐藤さん、雪元さん、田中さん)

課題

⚫︎組織に新たな風を吹かせる多様な人材獲得方法がなかったこと
⚫︎優秀な人材の退職を認識していたものの、その退職者と関係を持ち続ける方法がなかったこと

解決策

⚫︎グループ全体での退職者プラットフォームの構築とプロのコーディネーターによる運用代行パッケージの提供

効果

⚫︎検討から約5ヶ月で運用を形にし、退職者へ案内を順次開始          
⚫︎退職者から多様な「協働意向」の獲得、組織改革の兆しへ                

日本郵政グループは、日本郵政株式会社、日本郵便株式会社、株式会社ゆうちょ銀行、株式会社かんぽ生命保険から構成され、「進化するぬくもり。」をスローガンに、全国約24,000の郵便局ネットワークを通じて幅広いサービスや商品を提供しています。日本郵政グループの中期経営計画「JPビジョン2025」に掲げる「共創プラットフォーム」の一環として、同グループを退職した元社員によるアルムナイネットワークを構築のために、Alumyを導入。グループ全体の人事改革を行っている本プロジェクト担当のJP未来戦略ラボの當麻さん、佐藤さん、政賀さん、雪元さん、田中さんの5名に導入の背景や今回の取り組みについて伺いました。

5年後・10年後を見据えた人材戦略の一つが仕事を通じた退職者との繋がりだった。

ー 皆さんの抱えていた課題について教えてください。
當麻さん:グループ4社により構成された日本郵政社長直下の組織であるJP未来戦略ラボの中で、私たちのチームでは「人事改革」をテーマにグループ全体の人事施策を検討しており、取り組みたいテーマの一つに上がったのが、アルムナイとの関係構築でした。
それぞれの社員が自身のキャリアを幅広く考え、転職によって当グループを離れるケースも増えてきました。退職者にはそれぞれの事情がありますので、転職自体を止める訳にはいきません。ただ、離職した方々と継続した関係を維持していく手法がないことに問題意識を持っておりました。
佐藤さん:離職される方の数は他社と比較して決して多いわけではありませんが、これまでは、「今いる人材に長く働いていただくためにはどうすべきか」という観点に力を入れてきたため、退職される方に何かをする発想はなく、せっかく時間とコストをかけて採用した貴重な人材と退職以降はほとんど接点を持てていないのが現実でした。時代が大きく変わる中で、5年、10年先を考えたときに、転職等により社外で有益な経験を重ねている退職者も含めた多様な人材が日本郵政グループの事業に関わっていける、そんなプラットフォームが必要だと感じておりました。
ー カムバック採用についてどのようなイメージを持っていましたか?
當麻さん:カムバックに向けた取り組みについては、チームで検討した際に先に述べた課題感が強くあったのですぐに着手したいね、となりました。一方で、社員の退職に際しては出る側も送る側も双方ドライなイメージがあり、「果たして企業・退職者双方に受け入れられるのか?」という懸念もありました。これは長く働くことが前提の企業風土によるものかなと感じています。
政賀さん:こういった企業風土の中で、社外で経験を重ねた社員がもう一度事業に関わっていただけることは非常に意味があると感じています。日本郵政グループの中でずっと働いていると良い意味でも逆の意味でも仕事のやり方などが型にはまっていくように感じるのですが、カムバック人材はまさに他社の良さを組織に運び込んでくれる有用な人材だと考えています。グループ中計で掲げる多様なバックグラウンドを持つ人材の活躍に向け、これは取り組むべきテーマであると改めて感じました。
取材に協力してくださった當麻さん

(日本郵政グループ(JP未来戦略ラボ):當麻さん)

中長期を見据えた取り組みだからこそ、退職者にとって魅力的な仕事を通じた関わりを作りたい

ー Alumyのどの点が貴社にとっての最大のメリットでしたか?
當麻さん:まずは退職者と仕事を通じた関わりを作るというサービスのコンセプトが印象的でした。退職者との取り組みというと、とりあえずコミュニティを作ろうとなってしまいがちですし、私たちも最初はそう思っていました。そんな中で集めて終わりにならないために、雇用を通じて繋がりを深めていくことをご提案いただけたのが、私たちにとってはとても新鮮に感じられました。
雪元さん:導入無料、成果報酬という料金体系も当グループにとって大きな魅力でした。今回の施策は短期的な成果というよりは中長期的な目線をもっていたので、「導入コストがかからず、カムバックのタイミングで料金が発生する」という説明を持って社内調整もスムーズに進めることができました。
田中さん:また、カムバックコーディネーターの方が、会社と退職者の架け橋となり継続的に連絡していただけることも魅力的です。退職者を集めるところは我々でもできるのですが、継続的なフォローをしていかなければ、この取り組みは形だけで終わってしまいます。このネットワークを長期的に機能させるためには、運用のところを継続的にサポートしていただき、退職者の声を共有いただく必要がありました。
ー Alumyのサポート体制はどうでしたか?
當麻さん:導入までは、隔週でミーティングをさせていただき、今回の取り組みを推進するのに必要な事例やノウハウを提供いただきました。その後、実際に退職者の方々への案内を開始してからは、月次での開催に切り替え、コーディネーターが掴んだ退職者の生の声の共有や、次は「こんなことをやったらいいのでは?」という提案など幅広くサポートいただき、助かっています。
ー 導入してどのような影響がありましたか?
當麻さん:当グループがサービスやツールを導入するには企業規模から1~2年かかってしまうこともあるのですが、半年もかからずに退職者協働プラットフォームの構築を開始することができました。スムーズに導入開始できたのは、我々プロジェクトメンバーだけでなくリクルート様のナレッジなどを提供いただいたおかげです。
雪元さん:まずは本社を退職された方から順次案内を始めているのですが、「この取り組み待っていたよ」など好評の声をいただいています。当グループとアルムナイ、相性がいいのか不安なところもあったのですが、退職者の方からカムバック希望の声もリアルにいただけて、入り口としてはよかったと思っています。
取材に協力してくださった政賀さん、雪元さん

日本郵政グループ(JP未来戦略ラボ):(左)政賀さん (右)雪元さん

日本郵政グループの未来を支えるプラットフォームを目指す

ー 今後の活用予定について教えてください
當麻さん:本取り組みはただ退職後も繋がり続けることが目的ではなく、協業・コラボレーションや中途採用を進めていくことにあります。そのためには、「採用してよかった」「こんなこともできるんだ」と感じてもらい、多様な人材を取り入れていくような企業文化に変えていきたいです。
田中さん:まずは本社から取り組みをはじめていますが、この取り組みを順次広げていき、日本郵政グループの最大の強みである多様な人材の活躍によって、よりお客様に喜ばれる企業にしていきたいと思っています。
雪元さん:このネットワークで他社を経験された方と当グループが共に働く機会を生み出すことで、組織に新しい風をもたらしていきたいと思います。
佐藤さん:5年後、10年後に振り返ってあのとき取り組み始めて良かったと思えるようなプラットフォームにしたいです。日本郵政グループで働き、内部の事情を知っている人だからこそ、副業人材の活用など中途採用以外でも活躍していただけるのではないかと思っています。5年後にこのプラットフォームが当たり前になり、周囲の人に「いい仕組みだよね」と言われることを期待しています。
取材に協力してくださった佐藤さん、田中さん

日本郵政グループ(JP未来戦略ラボ):(左)佐藤さん (右)田中さん)

ー 引き続きAlumyがお役立ちできるよう改善を進めてまいります。貴重なお話をありがとうございました!

※掲載内容は取材当時のものです。